みなさまこんばんわ。
お久しぶりです。
 
私は久々にライブに行ってきました。
 
私が大ファンの早川義夫さん、佐久間正英さんのライブ「歌と沈黙とノイズ」です。
 
 
このライブのタイトルには、すごく思い入れがあります。
 
イメージ 1
 
これは私の愛車Breva 750のエアインテークカバーですが、
ここに張られているステッカーは、私が10年前に友人と結成した(?)チームのものです。
「VOICE SILENCE & NOISE」とありますが、
これは先の言葉、「歌と沈黙とノイズ」から引用しました。
(「歌」だと、「Song」のほうがいいのかもしれませんが、早川さんの歌はあまりにも生々しく、「言葉」というほうがあっている気がするのです。だから、「VOICE」にしました。)
その友人とは、大阪在住のギター好きな旅人で、お互い早川ファンであったため、意気投合してチームをつくったのはいいのですが、もうずっと会っていません(笑)でも、きっと元気でやっていると思っています。
 
この「歌と沈黙とノイズ」という言葉ですが、
初出は95年10月21日発売の早川義夫復帰第2作「ひまわりの花」のCDの帯に書かれていたものです。
 
当時、雑誌の記事で早川さんの存在を知りすごく気になって「ひまわりの花」を買った私ですが、
えらい衝撃を受けてしまったのを覚えています。
今日共演した佐久間正英さんを初めてプロデューサーに迎え、ジャックス時代のセルフカヴァー、「堕天使ロック」や「ラブジェネレーション」に「風月堂」や「花火」、「ひまわりの花」といった新曲、そして鬼才もりばやしみほのカヴァーの「身体と歌だけの関係」、「あと何日」、「僕らはひとり」などを収録した、とんでもなく濃厚な「愛」のアルバムで、私は「このアルバムに出会うためにずっといろんな音楽を聞いてきたんだ」と当時真剣に思ったことを覚えています。
そう、まさに「歌と沈黙とノイズ」。この言葉が心に沁みついて離れなくなりました。
 
そしてその後に今は無き渋谷ジャンジャンで開催された
早川さんのソロライブに行って
「マリアンヌ」「割れた鏡の中から」を聞いた時の衝撃は今でも忘れられません。
ピアノ一台とヴォーカルだけなのに、
そこにははっきりと深い海の底の世界が、草むらに落ちた一枚の割れた鏡があったのです。
 
 
以後、
人生において勝負をかけなければならないときは「堕天使ロック」を心の中で歌い、
恋人とうまくいかないときは「僕らはひとり」(1)を口ずさみ、
ものごとがうまくいかず落ち込むときは「躁と鬱の間で」を心の中でかけ自分を慰め、
やがて社会に出て結婚し子供をもうけ日々生きる中で
自分を顧みては「恥ずかしい僕の人生」(2)がかかるような人間になってしまいました。
 
早川さんの音楽で人生がどれだけ影響を受けたか度(笑)は、
結構人に負けないんじゃないかと勝手に思っている始末です。
 
 
 
仕事や家庭に追われ
なかなかライブなどいっている時間が取れないのですが、
「早川さんが横浜でライブをやる」ことを知り
万難を排して時間を作り行くことにしました。
 
2月24日夕、伊勢佐木町をぶらぶらしながら「試聴室その2」に向かいます。
かつてこの一帯は外国人の娼婦のお姉さんがたくさんいた危険地帯(笑)だったのですが、
今ではすっかり静かになりました。
 
夕暮れの大岡川沿いを歩いて到着。
予約番号順に入室です。
私は、一番前の席にすわりました。
 
何の邪魔もなしに彼ら二人の演奏を聴きたかったのです。
 
ドリンク付きなので、さっそくビール。
(当然電車できましたよ)
一人で来ているし、まずは酔っ払おう。
 
 
そんなことをしているうちに開演。
1曲目の「サルビアの花」に続き、「割れた鏡の中から」(!!!)
これはしびれました。
いや、私が行くライブでは、いつもあんまり演奏されないのですが、
今日は聞けましたよ。しかもめちゃくちゃかっこいい。
その後の早川さんと佐久間さんのトークもかっこいい。
「いや、あんまり覚えていないです」
 
早川さんは「究極の私小説作家」なんじゃないかと私はいつも思っており、
聞き手の心を揺さぶる激しいヴォーカルとピアノのプレイにいつも感動を受けているのですが、
佐久間さんのギターも素晴らしかったです。
 
以前、ピーターマーフィーがロバートフリップのギタープレイを
「別の世界に連れて行かれてしまうようなクオリティがある」と評しておりましたが、
私は佐久間さんのギターを聴くと同じようなことを思います。
くぐもった音色が震えながら揺れ動いていくとき、
魂が違う次元にて揺らめくような、そんな思いに駆られるのです。
 
「僕らはひとり」(1)はいつ聞いても泣けます。
「わらってもないても ぼくらはひとり はなしはないけどいっしょにいたいよ」
この現世における人と人のかかわりを、こんな簡潔に表現してしまった曲を私はほかに知りません。
いろんなことに悩んだら、ぜひ聞くべき一曲でしょう。
 
「恥ずかしい僕の人生」(2)も泣けます。
私はまだ30代ではありますが、気が付けば40代が目の前に迫ってきていて、
でもちっとも大人になっていない気がする。恥ずかしいことだらけ。
「何年大人を演じても 心の底はかわらない 頭の中は子供のまま 何を喜び何を悲しむ」
「男らしく出来なくて 人間らしくなれなくて 恥ずかしい僕の人生よ」
そうなんです、恥ずかしくてしょうがないんですけれど
でも嫌になって辞めちゃったら一家で路頭に迷うことになってしまうしなあ・・・
頑張って生きていかないとなあ。
 
 
一時休憩ののちに再開。
ここで私は焼酎を追加します。
佐久間さんのインプロ(?)は上述したロバートフリップとブライアンイーノの共演作
「イブニングスター」を連想させるものでしたが、「お休みの音楽」とのこと。
 
 
 
 
 
隣の家のねこちゃんを気に入って歌っちゃった「猫のみーたん」。
その適当さに感動します。
 
名曲佳曲が続いていきます。
柴草玲さん(この人も私ファンなんです…サイン持っていたりする)との共作を聴き、
早川さんと柴草玲さんの共演ライブの日に都合がつかなかったことを思い出したり…
(柴草さんの「金魚」(3)という曲が好きです。)
 
後半の
「身体と歌だけの関係」(4)
「からっぽの世界」(5)
「いつか」(6)
は怒涛でした。
二人とも神がかり。
 
アンコールの「いい娘だね」「H」は思い切り手拍子していました。
なんていうか、早川さんと佐久間さんのプレイを見ていて、
自分も何でもいいから参加したいと思ってしまったのです。
黙って聞いていられないぐらい胸がいっぱいになってしまった。
 
あんまり揺れてしまい
床にマフラーを落としてしまっていたら、
アンコールから戻ってきた早川さんに「おとしてますよ~」と言われてしまいましたが(笑)
 
 
 
 
充実した二時間でした。
いいライブでした。
なんか、胸が本当にいっぱい。
充電されました。
 
また、そのうち、聞きに行こう。
そうしょっちゅうはいけないけれど、
でも行けるときは聞きに行こう。
 
 
 
この記事を読んでくれた方が、
少しでも早川さんの音楽に興味を持って、
そして直接ライブに行って感じてくれたらとてもうれしいです。
 
 
では、またいつか。
 
 
以下、文中での引用した曲たち、from youtube。
 
 
(1) 僕らはひとり
よく、彼女とうまくいかないときに歌っていました。
結婚して子供が生まれ、いろんなことがあってから聞いても
この曲はリアルです。
僕らはひとりだから、分かり合って一緒にいたいと思うのかなあ。
 
 
 
(2) 恥ずかしい僕の人生
年を重ねるごとに共感してしまう曲です。
まだまだこの先いろんなことがあるんだろうけれど、
なかなか大人になれません、本当。
 
 
(3)柴草玲 「金魚」
早川さんと佐久間さんの記事なのですが、
共演記念(?)で柴草玲さんのこの曲も。
以前、すごくつらいことがあり非常に嫌になってしまったときに
この曲を聴いて、「そうよ、あなたのせいじゃない」の件に涙が出てしまったのを覚えています。
(ま、シチュエーションはちょっと違うんだけれど…)
 
 
 
(4) 身体と歌だけの関係
幾度となく当ブログでも取り上げた「恋愛楽曲の極北」。
佐久間さんのギターが、まさに神がかりです。
自分の心がよどんだ時に聞くと、浄化される気がします。
 
 
 
(5) からっぽの世界
ジャックス時代の名曲。今も演奏され続けています。
すこしプログレの香りがするような気がします。
これは夭折したヴァイオリストHONZIさんの名演ヴァージョン。
鬼気迫る、というのはこういうプレイのことを言うのではないでしょうか。
深く碧い海の底をさまよい流されていくような・・・
涙腺がおかしくなるようなヴァイオリンです。
 
 
(6) いつか
復帰後の早川さんの超名曲。
忘れたころに聞くと、生きていく勇気が出ます
余談ですが、私は丸メガネでずっと生きていますが、
それは早川さんが丸メガネだったからです。
 
 
それでは皆様ごきげんよう。